いつかまた…
2.君との出会い


この日は
高校最後の終業式。


わたしが通う高校は、
山の上に地味に存在していた。


「ふぇ〜今日も暑いね」


わたしの隣でそう言ったのは、今にも溶けてしまいそうなほど体をヘニャヘニャにした人物。


そう、それはわたしの親友でもある睦美。


睦美とわたしは
正反対のタイプであり、
背が高く、細くて
整った顔立ちで…

それでもって男の子からも女の子からも人気があるなんて、

地味目なタイプのわたしからすると、そんな睦美がうらやましくもあり、
アイドル的存在だった。



ここまで褒めること
ないか……。



まあ、
そんなお姫様は、
今このとおり
夏の暑さにコテンパに
やられている状態。






「ムーちゃん大丈夫?」


って言ってるわたしも
フニャフニャに溶けてる最中…


「ね〜リノ……。わたし今日もう無理だわ…」


あっ、
言い忘れたけど
“リノ”とはわたしの事!


「もしやムーちゃん…サボる気ですか?」



いざ坂道を登ろうと
差し掛かったところで
睦美は足を止めた。



「終業式なんて出ても出なくても一緒でしょ…」


高校生活最後の
終業式…


小さな行事にも絶対に出ようと言い出したのは
睦美だったはず。



まあいいかっ!!


そんなわたしも
この暑い中、目の前に続く地獄の坂道を登る意欲がなくなっていた。



「だよね…わたしも無理かも」


と、二人はあっさり来た道を引き返しす。


ちょうどいいタイミングでバスが到着!!



バスに乗り込んだわたしたちは、クーラーの効いた涼しい車内でようやく行き帰ったのだ。


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