いつかまた…
「あの、わたしたちなら大丈夫ですから。二人で帰ります。」
助けてもらった人に
そこまでしてもらえない。
ましてや…わたし。何の関係もないこの人のこと蹴っちゃったわけだし…
「俺、車出してくるからここで待ってて!」
そう言ったサラダ煎餅は、一人パーキングへと駆けて行った。
あれっ?
わたし断ったはずだよね?
わたしの言葉…
通じなかったのかな?
ほんの数分後…
ガードレール脇から
黒い車から手招きをするサラダ煎餅の姿が見えた。
仕方ない。
今日は甘えちゃおう。
「失礼しまーす。」
わたしは睦美の肩を抱き抱えながらとサラダ煎餅の車に乗り込んだ。
車内は甘いムスクの香りと、タバコの香りが混ざり合ってて
大人の男って感じで…
変に緊張してしまう。
「家どこら辺?」
サラダ煎餅は、サラっと爽やかにそう言った。
ここからだったら睦美の家まで10分くらいかな。
「○○駅までいいですか?」
「了解!」
サラダ煎餅は、慣れた手つきでハンドルを切り、ゆっくりと車を発進させた。
「睦美ちゃんだっけ?」
サラダ煎餅はバックミラー越しから、後部席にいるわたしたちを見る。
「はい。」
元気の無い睦美の声。
果たしてサラダ煎餅には届いたのか?
「あいつらが言ってたこと、気にすることないからっ。」
届いてた。
てかサラダ煎餅…
あなたはどこまで優しいの?
「睦美ちゃんはいい友達を持ったね。こんなに友達思いで、後先考えないで突っ走る気が強い子、俺初めて見た。」
あの〜それ褒めてくれてますか?
「わたし、リノがいなかったらきっとあの人たちに言われっぱなしでした。
けど、わたしの変わりに言ってくれたんで…
少し恐かったけど、なんだかすっきりしました。」
「睦美…」
わたしは睦美の言葉に、涙が溢れそうになった。
それから
駅までの10分間。
わたしたち3人は、
初めて会ったとは思えないくらい、ひたすら喋り続けてた。