みんなに繋ぐ、全ての想いをここに
「じゃあ、生まれて直ぐに旅に出たの」

「ま、まあな」

話にしては筋は通ってると思う

けど、やっぱり

突き放さなきゃ、ダメなんだ

「美愛って・・・・・・・本当の名前、美杏って言うんでしょ?」

「っっ?!」

春の問いかけに、あからさまに驚いた美杏

動揺が隠しきれないようで、急にそわそわしだす

「な、何言ってんだ?つーか、誰だよそれ」

微かだけど、声が震えた

あたしは風属性だから、風の流れ────空気の振動なんかには敏感だ

「とぼけないで。さっき、あたし水鏡で占ったんだよ・・・・・・美愛は本当の名前じゃないって」

「んな・・・・・・っ」

さすがに水鏡には弱いのかな

動揺が、大きくなった

追い打ちをかけるかのように、あたしは言った

「春の水鏡には、美杏はこの世界に害を為すって記されたよ・・・・・・だから、お願い」

「・・・・・・出て行けと」

青ざめた顔で、譫言のように呟いた

「そう、これ以上ここにいてほしくない」

ズキ・・・・・・と胸が痛んだ

嘘だ

本当はもっとここにいてほしい

でも・・・・・・言えない

「春も、か?」

「うん、あたしも同じ。もし大人しく出ていかないなら、実力行使で出ていってもらう」

きっぱりと言い切った春の顔も、辛そうだった

でも、それを隠すように、美杏に叫んでいる

「なんでだよ・・・・・・千聖たちは、水鏡の結果を信じるのか?」
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