みんなに繋ぐ、全ての想いをここに
「・・・・・・いけたか?」

ほうっと息をつき、イザベラを見つめた

だが、殺せたのは手前の魔物だけで当のイザベラは欠伸をする始末だ

「あらぁ?もう終わりかしらぁ?」

そして新しく、魔法陣から魔物を数十体召喚する

底なしの魔力が・・・・・・いや、邪神の力か

「一斉に魔法を撃ち込むのは?」

「無理だ、あたしたちでこれなら、せいぜいかすり傷程度だ」

「そんな・・・・・・」

千聖の提案をばっさりと切り落とすと、落胆したような声が聞こえる

どうする

どうすれば、この状況を打開できる

考えがぐるぐると頭の中を駆け巡るが、どれも無理なものばかりだ

「ふふっ・・・・・・」

遠くで、この場に似合わない笑い声が聞こえた

それは紛れもなく、イザベラのもので

「甘美な夢を見せてやりましょう・・・・・・」

小さく小さく、詠唱と聞き分けのつかない呟き

果たしてそれは、効果覿面だった

その瞬間に、瘴気は意思を持ったように、動いた

「え・・・・・・?!」

「は?おいちょ────」

魔力耐性の小さい春と、ずっと後ろで傍観していた翔太の悲鳴が聞こえた

あたし達の周り充満していた瘴気は、その姿を形成し、まるで人の手のように動く

それはそう、まるで人を、闇へと誘うかのように

それに、耐えきれずに、2人は堕ちた

瘴気の手は2人を包み込む

薄い瘴気だと、その様子がよくわかった

「こんの・・・・・・魔の力を打ち払え!」

あたしの魔力で瘴気をどかせようとするが、それは無駄な抵抗に過ぎなかった
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