みんなに繋ぐ、全ての想いをここに
あたしとリーナの会話は、誰にも聞かれず、風に溶けて消えた




体育館には、パイプ椅子が雑然と並べられていた

それに、クラス順に並ぶ

「人が多い・・・・・・」

人が多すぎだろ!?なんでこんな多いんだよ!

これ全員新入生?!ふざけんなー!

酸素が薄いわ!

「み、美愛・・・・・・大丈夫?」

「あ、ああ・・・・・・大丈夫だ」

「本当?手、繋ぐ?」

「うっせー!大丈夫だって言ってんだろ!」

ニヤニヤしながら、千聖と春はここぞとばかりあたしに言い寄ってくる

こいつら・・・・・・風魔法で動き封じてやろうかな

本気で思っていると、「さっさと席につけ」と、トゲのある声が聞こえた

「零・・・・・・」

後ろには、不機嫌そうな零と、ちょい困惑気味の翔太がいた

しかも、女子の軍団を引き連れている

にじり寄ったり、腕を絡めようとする女子達を上手く撒こうとしてる

だが・・・・・・一人うざったるいやつがいるな

春のような綺麗な薄ピンクではなく、キツめの濃いピンクの髪色を縦ロールツインテにしている

こいつ、絶対染めてるだろって思うレベルだな

顔もそこそこ可愛いから、周りからおだてられたんだろう

零の腕に自分の腕を伸ばすが、あっさりと避けられる

女の色気・・・・・・まあ、こいつにはあんまねぇけど、少ない色気を増し増し使って、堕とそうとしてやがる

なんかイラつくな、こいつ

「はぁ・・・・・・」

零のため息が聞こえた

「二人はモテて大変だねぇ〜」

「ほんとほんと」
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