みんなに繋ぐ、全ての想いをここに
〜千聖 side〜

「ん・・・・・・」

あたしは懐かしい香りを感じて、ゆっくりと目を開けた

1番初めに視界に入ったのは、真っ白な天井

そしてふわふわで清潔感のあるベッドの感触

「ここ・・・・・・って」

ここ、お祖母様が設立した病院・・・・・・?

起き上がろうとすると、ふっと魔力が抜けたように力が入らない

なんで?

それよりも、どうなったの?

あの時・・・・・・零が魔物の攻撃から庇ってくれて、零が倒れた後に、あたしもやられた

それから意識がなくなって、気づいたら、今

「美杏は・・・・・・?みんなは?」

1人で自問し、答えのない問いかけを繰り返した

イーリス様や、零・・・・・・春も翔太も、リーナだって

誰か教えて欲しい

そう切に願った時

ちょうど、個室のドアが開いた

「あ・・・・・・」

そこから顔を出したのは、お祖母様

その顔を見て、涙があふれる

「お、ばあさま・・・・・・」

「おかえりなさい、千聖」

抱えた花束をベッドサイドの机に置いて、お祖母様は寝たままのあたしにぎゅっとハグをした

その途端、堪えていた涙がさらに溢れて

そのまま暫く、あたしはお祖母様に抱かれて泣いていた





「ねぇ、お祖母様」

「なぁに?」

診察が終わり、一段落着いたところで、あたしは本題に入る

「あの後、何がどうなったの?」

その質問に、ピタリと林檎の皮を向く手が止まる

嫌な予感がした

たらりと嫌な汗が背中を伝う

「千聖」

林檎をお皿の上に置き、水の魔法で軽く手をすすぐ

「心して聞きなさい」
< 232 / 241 >

この作品をシェア

pagetop