みんなに繋ぐ、全ての想いをここに
〜千聖 side〜

がらららんっ!

がしゃん!

んー?なに?

「ふぁ・・・・・・」

大きな音がして、あたし────千聖は目を覚ました

なんの音だろ?

今は春はいないし、リーナは美愛の部屋だし

なら、消去法で美愛、ということになるよ?

思案していると、キッチンの方から小さなうめき声が聞こえた

まさか、なにか怪我した?

包丁で手を切っちゃったとか?

「ま、まずいっ」

一気に眠気も吹っ飛ぶ

急いでキッチンに向かおうとした、その時

「美杏?!」

慌てたような、リーナの声が聞こえた

あれ、今「みあん」って言った?

聞き間違いかな・・・・・・美愛は美愛だし

そう考えていると、ドアが勢いよく開く音がした。空気を切り裂く音も

リーナがとんでいったんだ・・・・・・きっと

行こうか行きまいか迷っていると、2人は、不可解な会話を始めた

「そうね・・・・・・屋敷なら魔力の濃度が高いから早く回復するけれど。ここの魔力濃度は平均値。時間がかかるわね」

「そう、だな」

「仕方ない。美杏は少し休んでて。私の魔力だけじゃ補えないわ」

「そうさせてもらう・・・・・・でも、千聖が起きるんじゃねえか?それに、春も」

「大丈夫よ。少なくとも春は、あと1時間はあがってこないわ」

魔力濃度?

屋敷?

どういうこと?

行きたい気持ちを抑え、必死に二人の会話に耳を傾けた

俗に言う・・・・・・盗み聞きなんだろうけど

気になる

「千聖は起きるかしら・・・・・・起きたとしたら、少しまずいわね」

「でも、強制的に眠らせるのはできねぇだろ」

「そうね。起きないことを祈りましょう」
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