みんなに繋ぐ、全ての想いをここに
まあ、あたしも黒焦げパン、あんま食べたくなかったけどな

本心では

「ところでリーナは?」

「睡眠不足だからって、精霊界に帰った」

「え・・・・・・精霊界に帰っちゃったの?」

「帰ったぞ。ここ、魔力の濃度が薄いんだよな」

「魔力の濃度が薄い?」

パンを焼く用意をしていたあたしの言葉に、千聖は急に訝しげな顔で腕を組んだ

あ、やば

言っちゃった・・・・・・!

この世界の住人─────要するに魔法使いに、魔力の濃度はわからない

分かるのは・・・・・・精霊くらいなものだ

やばい、マジでやばい!

「リーナが言ってたの?」

「え?あ、そ。リーナが言ってたんだよ」

「へぇー!そうなんだ。さすが精霊だね」

あ、あぶなー

千聖が(無意識だろうけど)助け舟を出してくれた

使い方違うか?ま、この際どうでもいい

「だから、濃度が高い精霊界にかえっちゃったのかー」

「そんなとこだ」

「へー・・・・・・あ、あたしも手伝う!」

「・・・・・・頼む」

自ら名乗り出てくれた千聖に甘え、あたしはパンを預けて、冷蔵庫から野菜類を取り出す

これでサラダを作るか

パンを焼く千聖の横にポジションをとり、テーブルの上にまな板を置く

包丁を取り出し、水に濡らして野菜を切っていく

「すごーい・・・・・・切るの早い」

「そうか?」

「うん、早いよ・・・・・・あたしだったら指切ってるかな」

あり得る

あたしは一瞬でそう思った
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