みんなに繋ぐ、全ての想いをここに
こっちが我儘言って、ここにいさせてもらってんだ

ダメダメ。却下

いくら目の前に魔力を有した生命体がいるからって、これはダメだな

ん?魔力?

なんか忘れてね?あたし

と思った瞬間

体から、ふっと力が抜けた

「ヤバっ」

慌てて体勢を立て直す

「ん?どーかしたのかー?」

「いや、なんでもねぇ」

あたしの異変に気づいた歩美が振り返るが、なんとか答える

まずい、忘れてた

約三日おきにある、魔力吸収

一昨日きたから油断してた

どうもこの最近、魔力吸収が頻繁におこる

その度に、あたしはリーナの手を借りて行動しなくてはならない

授業中とかにやられると困る

そして今、それが来ている

しかも、この合宿中に

こうしている間にも、どんどん魔力は吸い取られていく

あー・・・・・・フラフラする

先生に言って休ませてもらおう・・・・・・そう思い、歩こうとする

でも、あたしは耐えきれなかった

足を踏み出した瞬間、バランスを崩し

後ろに倒れ込む

地面にあたる・・・・・・そう思った

でも、地面よりも上で、誰かに支えられた

あたしの視線の先に歩美がいるから彼女じゃない

なら、誰が

「あ、ありが────」

お礼を言おうとして、首を回した

目に飛び込んできたのは

不服そうな、零の顔だった

「は?!」

一気に体が固まる

いやいや、なんでここに零がいて

なんであたしを支えてんだ?!
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