死にたがりな彼女
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【我侭な彼女】
「シーファ」
たどたどしい舌先が僕の名前を呼ぶ。
本へと落としていた視線を、声のする方へと向けると、先ほどまで読んでいた、その身体に似つかわしくない大きな本から顔を上げて彼女は、こちらを見ていた。
少し肌寒い秋の日のお昼とも夕暮れとも付かない時間帯。
黒いカーテンを引いた、太陽の光の届かない書斎で僕たちは本を読むことを日課としていた。
いちいち数えたりしない、膨大な本の山に囲まれながら僕たちは毎日飽きることなく本を貪り読んでいた。
そんな、午後のひと時。
静かに本を読んでいた、彼女の声に、僕は応える。
「どうしたの、ソウェル」
「死にたいわ」
少女はその無垢な瞳を寸分も曇らせることなく言った。
まるで遊園地に行きたいと言うような、それでも、好奇心の欠片も残さないほど、真っ直ぐと真剣に、純粋に。
「シーファ」
たどたどしい舌先が僕の名前を呼ぶ。
本へと落としていた視線を、声のする方へと向けると、先ほどまで読んでいた、その身体に似つかわしくない大きな本から顔を上げて彼女は、こちらを見ていた。
少し肌寒い秋の日のお昼とも夕暮れとも付かない時間帯。
黒いカーテンを引いた、太陽の光の届かない書斎で僕たちは本を読むことを日課としていた。
いちいち数えたりしない、膨大な本の山に囲まれながら僕たちは毎日飽きることなく本を貪り読んでいた。
そんな、午後のひと時。
静かに本を読んでいた、彼女の声に、僕は応える。
「どうしたの、ソウェル」
「死にたいわ」
少女はその無垢な瞳を寸分も曇らせることなく言った。
まるで遊園地に行きたいと言うような、それでも、好奇心の欠片も残さないほど、真っ直ぐと真剣に、純粋に。
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