死にたがりな彼女
「君たちあのショーから逃げて来たのかい?」
「悪趣味すぎる」
「火あぶりショーはここでは人気があるんだ。その代わり、ああやって司会者や観客の気が狂って死んだり吐いたり…」
「君も逃げたのかい?」
男は笑った。
「いや、僕はね、呪いを掛けていたんだ、今は休憩」
「人々を丸い円の中に誘っていたのは、あなたね」
ソウェルの言葉にそうさ、と男は得意そうにいった。
「あの下に魔方陣を書いているんだ。そして、燃やされた人間達の怨念が悪魔を呼んで、ジワジワと観客達の心を壊していく……呪われていくんだ!誰一人例外なく!」
男は気が狂ったように笑って、叫んだ。
その笑顔は段々と、壊れ、崩れ、激しい怒りの形相に変わった。
「彼女が何をした!?日々を慎ましくも穏やかに暮らしていたのに、あの傲慢なジュリエッタは自分より美しいものを許さなかった…彼女が影のミス・メルヴィーだと聞いて、アイツは彼女を陥れるためにあんな嘘を!ミリアは人を妬むような人間じゃなかった…呪うことなどしなかった…貧しい暮らしでも文句一つ言わずに、笑っていてくれたのに…何故だ!何故僕たちをそっとして置いてはくれなかったんだ!他にも沢山、僕たちよりも色んな物を持っていたくせに!何故!あぁミリア!!呪ってやる、この街の人間全員呪ってやる!!」