死にたがりな彼女
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【迷子な彼女】
メルヴィー街の、栄えた駅前から少し離れた場所に、僕たちは宿を取って休んだ。
流石にソウェルが軽いとは言え、ずっと負ぶったり抱き上げたりしていると肩が痛い。
ベットに腰を掛けて首を回していると、ソウェルは僕の座るベッドへとやってくるとその小さくて弱々しい手でトントンと肩を叩いてくれた。
力が弱くて凝りはあまり解れないが、何となく、払う気にもなれず僕はソウェルに肩を叩いてもらった。
「シーファ、明日は海に行きましょう?」
「……いつ?」
嫌な予感がして、問いかけた。
「朝かお昼」
嫌な予感はピンポイントに的中して、僕は思わずベットに倒れこんだ。
「ソウェル、夜にしようよ。目が痛いよ」
「駄々っ子ね」
五歳児に言われると、物凄く、傷つく。
「きっと綺麗よ?ねぇ、シーファ」
「知ってるかい、ソウェル。海は太陽の光を反射させるんだ。ただでさえ眩しい光が二倍になるんだ。こんな苦痛ってないよ」
「もう……だったら夜でいいわ。その代わりお昼は外を見ましょう」