死にたがりな彼女
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【寂しげな彼女】
森を出ると太陽が徐々に姿を失くしていた。追いかけてくる月から逃げるように。
世界をオレンジ色に染めて、段々とグラデーションを作って、少しでも自分をこの世界に残していたいと無様に乞うように。
時刻は4時を廻っていた。
先ほどまで僕たちは森の中が心地よくて、森の中を探検して歩いていた。
至る所で死体を見つけ、至る所で蝿に襲い掛かられたが、それさえなければ僕はあの森の中を第二の家としても良いと思えた。
今まであの森へ行かなかったことを悔いるほど、素晴らしい森だった。
「とりあえず、首吊りはダメね」
言いながらソウェルは白猫のポシェットからメモ帳とペンを取り出して「くびつり」と書くと、その文字の上に線を引いた。
「他の死に方を当たるの?」
「そうね、他を当たらなきゃ…」
言ってメモ帳を閉じると、ソウェルはふぅ、と溜息を漏らした。
「少し疲れた?」
「えぇ、少し」