エリート弁護士と婚前同居いたします
「詩織っ!」
金切り声に近い声で親友の名前を呼ぶ。
「逃げちゃダメ。きちんと話さなくちゃ、何もわからないわよ。スピーカーが嫌なら切り替えて構わないからきちんと菫さんに聞いてみなよ」
どんな時も私の味方でいてくれる親友が真剣な声で言う。その声と厳しい表情に、私は反論できずにスマートフォンを受け取る。親友にも話を聞いていてほしいのでスピーカー状態のまま話すことにした。念のため姉にも了承を得る。
『一体何があったの? さっきから何度も侑哉に上尾くんから電話がかかってきているのよ。茜がいなくなったって。今まで聞いたことがないくらいに悲壮な声で』
姉が早口で言う。
「え……?」
耳にした言葉が信じられない。
『あまりの取り乱しように侑哉が驚いているわ。茜が事故にでもあったのかって。とりあえず無事でよかったわ』
心からほっとした様子で姉が大きく息を吐いた。
『上尾くんに連絡を……』
「やめて‼」
姉の穏やかな声にかぶさるように叫ぶ。私の隣に座っている詩織が、そっと私の手を握った。
「菫さん、こんばんは、詩織です。すみませんが茜の話を聞いてもらえませんか?」
冷静な詩織の声に、姉は戸惑いながらも了承してくれた。私はツキリと痛む胸を押さえながら、話し始めた。詩織はずっと私の手を繋いでいてくれた。
金切り声に近い声で親友の名前を呼ぶ。
「逃げちゃダメ。きちんと話さなくちゃ、何もわからないわよ。スピーカーが嫌なら切り替えて構わないからきちんと菫さんに聞いてみなよ」
どんな時も私の味方でいてくれる親友が真剣な声で言う。その声と厳しい表情に、私は反論できずにスマートフォンを受け取る。親友にも話を聞いていてほしいのでスピーカー状態のまま話すことにした。念のため姉にも了承を得る。
『一体何があったの? さっきから何度も侑哉に上尾くんから電話がかかってきているのよ。茜がいなくなったって。今まで聞いたことがないくらいに悲壮な声で』
姉が早口で言う。
「え……?」
耳にした言葉が信じられない。
『あまりの取り乱しように侑哉が驚いているわ。茜が事故にでもあったのかって。とりあえず無事でよかったわ』
心からほっとした様子で姉が大きく息を吐いた。
『上尾くんに連絡を……』
「やめて‼」
姉の穏やかな声にかぶさるように叫ぶ。私の隣に座っている詩織が、そっと私の手を握った。
「菫さん、こんばんは、詩織です。すみませんが茜の話を聞いてもらえませんか?」
冷静な詩織の声に、姉は戸惑いながらも了承してくれた。私はツキリと痛む胸を押さえながら、話し始めた。詩織はずっと私の手を繋いでいてくれた。