エリート弁護士と婚前同居いたします
「茜ちゃん、改めて紹介する。こいつは上尾 朔(うえお さく)。同じ高校の同級生」
同級生? ということは、お兄ちゃんとお姉ちゃんの知り合い?
私の考えていることがわかったのか、先生が言う。
「侑哉と朔と俺は同じサッカー部の仲間。菫ちゃんと朔は顔見知り程度だと思うけど」
どこか楽しそうに先生はニッコリ笑う。対する美形の彼はなぜか不機嫌な顔をしている。
「彼は当クリニックの患者さんでもあるんだけど」
その言葉に瑠衣ちゃんの顔を見る。彼女は黙って何度も頷く。
なるほど、確かにこれだけ綺麗な顔立ちの人が来ていたら印象に残るよね。
「上尾さんの来院予約の入っている時間帯は皆が受付の担当を希望しますから」
瑠衣ちゃんが訳知り顔で言う。
そう言われてみれば二、三カ月に一度、受付で皆がキャアキャア騒いでいる日がある。お昼休みの時間帯や最終予約がどうとか。私は特に何も考えずに過ごしていたけれど。ちなみにこのクリニックでは瑠衣ちゃんと私を含め六人が、シフト制で受付業務に従事している。
「茜さんは上尾さんが来院されている時、昼休みだったり、他の患者さんを対応されてることがほとんどですから」
瑠衣ちゃんがテーブルに身を乗り出すようにして私に囁く。
その言葉に納得してちら、と上尾さんを見ると不機嫌そうな表情を浮かべている。
「ええと、あの、患者さんだとは存じ上げずに申し訳ございません」
そんなに不機嫌な顔をしなくたっていいのに!
そう思いながらも足繁く通ってくださっている患者さんに、失礼な態度だったかもしれないと考えて謝罪の言葉を口にする。
「まあまあ、朔も茜ちゃんが可愛いからってそんなに睨まない」
貴島先生がいつもの軽い調子でとりなす。
「睨んでない!!」
先生の軽口に上尾さんが反論する。もう一度彼を見るとフイと視線を逸らされてしまう。
謝ったのにその態度はなんなの!
ふつふつと怒りに似た感情が湧く。いくらカッコいいからってこの態度はいただけない。
そもそもいきなり一緒に暮らそうなんて、からかっているとしか思えない。
同級生? ということは、お兄ちゃんとお姉ちゃんの知り合い?
私の考えていることがわかったのか、先生が言う。
「侑哉と朔と俺は同じサッカー部の仲間。菫ちゃんと朔は顔見知り程度だと思うけど」
どこか楽しそうに先生はニッコリ笑う。対する美形の彼はなぜか不機嫌な顔をしている。
「彼は当クリニックの患者さんでもあるんだけど」
その言葉に瑠衣ちゃんの顔を見る。彼女は黙って何度も頷く。
なるほど、確かにこれだけ綺麗な顔立ちの人が来ていたら印象に残るよね。
「上尾さんの来院予約の入っている時間帯は皆が受付の担当を希望しますから」
瑠衣ちゃんが訳知り顔で言う。
そう言われてみれば二、三カ月に一度、受付で皆がキャアキャア騒いでいる日がある。お昼休みの時間帯や最終予約がどうとか。私は特に何も考えずに過ごしていたけれど。ちなみにこのクリニックでは瑠衣ちゃんと私を含め六人が、シフト制で受付業務に従事している。
「茜さんは上尾さんが来院されている時、昼休みだったり、他の患者さんを対応されてることがほとんどですから」
瑠衣ちゃんがテーブルに身を乗り出すようにして私に囁く。
その言葉に納得してちら、と上尾さんを見ると不機嫌そうな表情を浮かべている。
「ええと、あの、患者さんだとは存じ上げずに申し訳ございません」
そんなに不機嫌な顔をしなくたっていいのに!
そう思いながらも足繁く通ってくださっている患者さんに、失礼な態度だったかもしれないと考えて謝罪の言葉を口にする。
「まあまあ、朔も茜ちゃんが可愛いからってそんなに睨まない」
貴島先生がいつもの軽い調子でとりなす。
「睨んでない!!」
先生の軽口に上尾さんが反論する。もう一度彼を見るとフイと視線を逸らされてしまう。
謝ったのにその態度はなんなの!
ふつふつと怒りに似た感情が湧く。いくらカッコいいからってこの態度はいただけない。
そもそもいきなり一緒に暮らそうなんて、からかっているとしか思えない。