エリート弁護士と婚前同居いたします
「茜」
検診を終えた朔くんが優しく私の名前を呼んだ。視線を手元に落とし、計算機を使用していた私はその声に顔を上げる。私を見つめて彼が妖艶に微笑む。
ドキンドキンドキン。
家でもずっと一緒だというのに、まだ慣れない。不意打ちの微笑みにいつも鼓動が乱される。
「検診、お、お疲れ様。お会計はちょっと待ってね!」
赤くなってしまったことを悟られないように慌ててうつむく。そんな私に彼は小さく笑う。
今日は朔くんが最後の予約患者さんだ。他には急患も診察待ちの患者さんもおらず、彼の会計を済ませたら今日の診療は終了だ。
待合室は閑散としている。先程瑠衣ちゃんが後片付けをしてくれたので子どもたちのおもちゃも雑誌もきちんと収納されている。
「茜さん、顔が赤いですよ」
瑠衣ちゃんが鋭く指摘する。
「本当だね。相変わらず仲がいいねぇ」
いつものように朔くんと話をしに来た貴島先生までがそんなことを言う。
「そっ、そんなことないです!」
必死で平静を装いながら反論する。
受付の奥の方からは同僚たちがチラチラと朔くんを見に来ている。
「朔は人気あるなあ。彼女が目の前にいるっていうのに皆、積極的だね。独り身としてはちょっと悔しい」
本気とは思えない、間延びした口調で先生が言う。朔くんは苦笑している。私はどう返答していいかわからない。
彼は我がクリニックのアイドル的存在だ。そのこともあり、付き合っていることを同僚に話すか迷っていると瑠衣ちゃんにあっさり言われた。
『今さら何を言ってるんですか。上尾さんの茜さんへの態度で皆、脈なしだってわかってましたよ』
そういう理由もあり彼は私の彼氏として反対されることもなく、認定されている。
検診を終えた朔くんが優しく私の名前を呼んだ。視線を手元に落とし、計算機を使用していた私はその声に顔を上げる。私を見つめて彼が妖艶に微笑む。
ドキンドキンドキン。
家でもずっと一緒だというのに、まだ慣れない。不意打ちの微笑みにいつも鼓動が乱される。
「検診、お、お疲れ様。お会計はちょっと待ってね!」
赤くなってしまったことを悟られないように慌ててうつむく。そんな私に彼は小さく笑う。
今日は朔くんが最後の予約患者さんだ。他には急患も診察待ちの患者さんもおらず、彼の会計を済ませたら今日の診療は終了だ。
待合室は閑散としている。先程瑠衣ちゃんが後片付けをしてくれたので子どもたちのおもちゃも雑誌もきちんと収納されている。
「茜さん、顔が赤いですよ」
瑠衣ちゃんが鋭く指摘する。
「本当だね。相変わらず仲がいいねぇ」
いつものように朔くんと話をしに来た貴島先生までがそんなことを言う。
「そっ、そんなことないです!」
必死で平静を装いながら反論する。
受付の奥の方からは同僚たちがチラチラと朔くんを見に来ている。
「朔は人気あるなあ。彼女が目の前にいるっていうのに皆、積極的だね。独り身としてはちょっと悔しい」
本気とは思えない、間延びした口調で先生が言う。朔くんは苦笑している。私はどう返答していいかわからない。
彼は我がクリニックのアイドル的存在だ。そのこともあり、付き合っていることを同僚に話すか迷っていると瑠衣ちゃんにあっさり言われた。
『今さら何を言ってるんですか。上尾さんの茜さんへの態度で皆、脈なしだってわかってましたよ』
そういう理由もあり彼は私の彼氏として反対されることもなく、認定されている。