エリート弁護士と婚前同居いたします
クリニックを出てすぐのエレベーターホールは、余計な照明が落とされていて少し薄暗い。真っ白な壁に、グレーの光沢のあるエレベーターの扉。あいにく表示は最上階になっている。エレベーターが到着する時間すらもどかしい。彼の居場所も知っているし、先刻会ったばかりだというのに。
朔くんのスマートフォンに【今からクリニックをでます。待たせてごめんなさい】とメッセージを送る。間髪入れずに【お疲れ様。俺は大丈夫。待ってるから、焦らずにおいで】と優しい返信が届く。
そのメッセージを思わず指でなぞって微笑む。些細なことがとても嬉しくて、仕事の疲れも気にならなくなる。
やって来たエレベーターに乗り込んで、スマートフォンをバッグに入れる。地上に到着して駆け出すようにビルを出て、目黒駅を横切った時、背後から声をかけられた。
「……香月さん!」
悲壮感がつまった声に思わず足が止まる。
「……日高さん、と佐田さん?」
振り返ると駅前にある、二段ほどの階段の上にふたりがいた。意外な組み合わせに驚くと同時に、日高さんの存在に身構えてしまう。
「茜ちゃん、突然ごめんね。お仕事お疲れ様」
先日、彼の職場で会った時と変わらない明るい笑顔で話しかけられる。まるで偶然の再会を喜ぶように。
「こ、こんばんは。あの、おふたりはどうして……」
混乱して雑談、という感覚にもならず単刀直入に言ってしまう。
朔くんのスマートフォンに【今からクリニックをでます。待たせてごめんなさい】とメッセージを送る。間髪入れずに【お疲れ様。俺は大丈夫。待ってるから、焦らずにおいで】と優しい返信が届く。
そのメッセージを思わず指でなぞって微笑む。些細なことがとても嬉しくて、仕事の疲れも気にならなくなる。
やって来たエレベーターに乗り込んで、スマートフォンをバッグに入れる。地上に到着して駆け出すようにビルを出て、目黒駅を横切った時、背後から声をかけられた。
「……香月さん!」
悲壮感がつまった声に思わず足が止まる。
「……日高さん、と佐田さん?」
振り返ると駅前にある、二段ほどの階段の上にふたりがいた。意外な組み合わせに驚くと同時に、日高さんの存在に身構えてしまう。
「茜ちゃん、突然ごめんね。お仕事お疲れ様」
先日、彼の職場で会った時と変わらない明るい笑顔で話しかけられる。まるで偶然の再会を喜ぶように。
「こ、こんばんは。あの、おふたりはどうして……」
混乱して雑談、という感覚にもならず単刀直入に言ってしまう。