エリート弁護士と婚前同居いたします
「あの、迎えにきてくれてありがとう」
エンジンを切り、車から降りてエレベーターに向かって歩き出した彼の背中に、おずおずお礼を告げる。その途端、彼が振り返って私の左腕を自分の方にグッと引き寄せる。私は倒れ込むように彼に抱きしめられた。息が止まりそうになる。バサッとバッグが足元に落ちた。
「……本気で、心配した」
苦しそうに吐き出された声に胸が締めつけられる。
「……ごめんなさい……」
それしか言えずに私はそっと彼の背中に手を回す。ビクリと彼の身体が震えた。
「帰ってきたら、部屋が真っ暗でお前がいなくて、何回スマホ見てもなんの連絡もなくて……」
そう言って彼は私の頭を胸に強く押し当てる。
「出て行ったのかと思った。でもお前の荷物は残ってて、誠一に電話したらお前はいつもと変わらずに帰ったって言われた」
その声が微かに震えている気がした。
「事故にでもあったのかと思った」
弱々しく頭上で彼が息を吐き出す気配がした。顔を上げて、そっと彼の端正な顔に手を伸ばす。焦げ茶色の瞳が苦渋に歪んでいる。まるで今にも泣きだしそうな子どものよう。
こんなに心配してくれたんだ。こんなに私のことを考えてくれてたんだ。彼への申し訳なさで胸が詰まる。そろそろと彼の両頰を私の両手で包む。
「ごめんなさい。私が浅はかだったから。朔くんの帰りが遅いって聞いていたから、詩織とご飯を食べて帰宅しても大丈夫だろうって思ってたの」
正直に伝える。
「心配してくれてありがとう」
自分のせいで彼を散々苦しめたのに、彼への想いが溢れて私が泣きそうになる。
「もうあんな思いはしたくない。今度連絡しなかったらお前の持ち物に、GPSつけるからな」
本気とも冗談ともつかない、拗ねたような表情で彼が頰に添えた私の両手を自身の両手でつかむ。そこからじんわりと伝わる彼の高めの体温。物騒なことを言われているのに全然恐くない。
エンジンを切り、車から降りてエレベーターに向かって歩き出した彼の背中に、おずおずお礼を告げる。その途端、彼が振り返って私の左腕を自分の方にグッと引き寄せる。私は倒れ込むように彼に抱きしめられた。息が止まりそうになる。バサッとバッグが足元に落ちた。
「……本気で、心配した」
苦しそうに吐き出された声に胸が締めつけられる。
「……ごめんなさい……」
それしか言えずに私はそっと彼の背中に手を回す。ビクリと彼の身体が震えた。
「帰ってきたら、部屋が真っ暗でお前がいなくて、何回スマホ見てもなんの連絡もなくて……」
そう言って彼は私の頭を胸に強く押し当てる。
「出て行ったのかと思った。でもお前の荷物は残ってて、誠一に電話したらお前はいつもと変わらずに帰ったって言われた」
その声が微かに震えている気がした。
「事故にでもあったのかと思った」
弱々しく頭上で彼が息を吐き出す気配がした。顔を上げて、そっと彼の端正な顔に手を伸ばす。焦げ茶色の瞳が苦渋に歪んでいる。まるで今にも泣きだしそうな子どものよう。
こんなに心配してくれたんだ。こんなに私のことを考えてくれてたんだ。彼への申し訳なさで胸が詰まる。そろそろと彼の両頰を私の両手で包む。
「ごめんなさい。私が浅はかだったから。朔くんの帰りが遅いって聞いていたから、詩織とご飯を食べて帰宅しても大丈夫だろうって思ってたの」
正直に伝える。
「心配してくれてありがとう」
自分のせいで彼を散々苦しめたのに、彼への想いが溢れて私が泣きそうになる。
「もうあんな思いはしたくない。今度連絡しなかったらお前の持ち物に、GPSつけるからな」
本気とも冗談ともつかない、拗ねたような表情で彼が頰に添えた私の両手を自身の両手でつかむ。そこからじんわりと伝わる彼の高めの体温。物騒なことを言われているのに全然恐くない。