エリート弁護士と婚前同居いたします
ただ、もう少し近付きたいな、と思う。どんな距離感になりたいのか自分自身でもまだよくわからないけれど。

ただ単純に彼の寝顔を見て眠りたい。もっと彼の傍にいたいなと思う。彼の色々な表情や仕草を見たいなと願う。そう思う私は欲張りだろうか。

あの日リビングで眠る彼の寝顔を見た時、とても嬉しかった。いつも完璧な彼の無防備な姿を見ることができたから。気を許してもらえている気がした。私に腕力があったら彼を部屋まで運んであげられただろうけど、私にはブランケットをかけるだけで精一杯だった。

そうは言っても、一緒に眠りたいなんて、気恥ずかしくて口には出せずに今日を迎えている。いい歳をした大人だというのに、異性と付き合うことが初めてでもないのに情けないな、と自分で呆れてしまう。

彼に片想いらしい片想いをせずに今、彼女という幸せな立場にいる私。彼の言動ひとつひとつに翻弄されている私は両思いだけど、彼に片想いをしているような気持ちになる。

今までとは全然違う恋の姿に日々戸惑ってしまうし、心は常に揺れ動いていてドキドキしっぱなしだ。そんな風に想える幸せを日々嚙みしめている。
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