恋駅
資料とパソコンとを睨めっこ。
私もここに勤めて5年。
先輩方もいるけど後輩も多く
頼られる立場でもあり。
慣れてきた仕事は
それなりに早く片付けられるようになったし、
失敗もありつつ
こなせるものは多くなってきて
いろんな面で任されている部分もある。
だからなのか、
今朝会った男子高校生のことだとか
いきなり告白されたことだとか
一目惚れ、なんて初めて言われたことだとか
そういうものはどこかに置いやれていた。
変にモヤモヤせず済んでよかったけど
残念ながら仕事が終われば
私も普通の女に戻るわけで。
多分きっと、
明日また会ったらどうしようだとか
色々悩み出すんだと思う。
「先輩、チェックお願いします」
「ん」
隣では、後輩が雪に
出来上がった資料を手渡している。
雪の信頼は厚い。
いつも私の一歩先にいる。
そして、資料に目を通すその横顔。
唇に触れるボールペンのキャップ。
それをボーッと顔を赤くしながら見つめる
後輩社員。
信頼厚く
仕事ができるエリート社員で
顔が良くてモテまくり。
雪の人生、凄く羨ましい。
って、ここのところよく思う。