恋駅
「ふぅーー……。終わった………!」
椅子の背にもたれ、腕を伸ばす。
パソコンの画面を見過ぎて目は痛いし
身体中ギシギシしてるし
今度の休日はマッサージにでも行くかな。
「お疲れ。定時で終わったじゃんか」
隣で雪がコーヒーを口に含みながら笑う。
「うん。なんとかね」
でもやっぱり雪の方が早かったけど。
「うっし。一緒に帰るか」
「そうね。
今日は疲れたし早く帰って休みたいな」
「同感」
同意し合って席を立つ。
まだ残っている人達に声をかけて
先に失礼することにした。
「あっちーーな……。
日は沈み始めてんのに」
「夏の終わりって言っても
まだ半袖で充分なくらいだもんね」
残暑が残る季節。
暗くなり始めた空を仰ぐ雪に苦笑しながら
「乗ってくべ?」
と言った彼に頷いて駐車場へと向かう。