恋駅


「僕は風間空です。
空って呼んでください!」


「わかった、空くんね」



敢えて“くん”を強調すると
ちょっと不服そうな顔をした空くん。


なんだろ、反応がいちいち可愛い。

私のS心が疼きます。



「芹那さん、
このあと来る電車に乗るんですよね?」


「うん。いつもこの電車。
昨日は乗り遅れちゃったんだけどね」


「そうだったんですね!
どおりで急ぎ足だったと……」


「見てたんかいっ」


「はい!もうばっちりと!」


「うわ……恥ずかしい………」



結局間に合ったからよかったけど
昨日はかなり焦ってたからな……。


ちらっと空くんに目を向ければ
ぱちっと合って

「へへっ」

なんて、彼が照れる。



「一歩前進できました。嬉しいです。
芹那さんの名前も知れて
こうしてお話もできて。

昨日の俺、凄く頑張った!」



あ………。



「……今、俺って言った!」


「え?」


「ほら!
昨日、僕って言ってたから!
いいのに、素でさ」


「あ……つい……
多分、自分より
年上だろうなって思ってたので」



空くん、
きっと純粋でピュアなんだろうな。


顔立ちもいいから
学校の女の子達だって
この子のこと、気になってたりとか
少なからずそういう人っていると思う。


……私じゃなくてもさ
いいんじゃないかな、空くんなら。


もっともっと身近に素敵な人
ちゃんといるんじゃないかな。
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