恋駅


「へへっ、ゲット!」



スマホを両手で握り締め
顔をくしゃっとさせて笑う空くん。


私のスマホの中にも
彼が友達とピースをして映る
トップ画面が表示されていた。



「これからたくさん送りますね!
ちゃんと返してくださいよ?」


「うん。もちろん。
学校頑張ってね」


「はい!芹那さんも!!」



バイバイ。


どちらともなく声をかけて
先に電車を降りたのは私だった。


車内から空くんが小さく手を振っている。


振り返してみたら
やっぱり嬉しそうにニコッとされて。


高校生っていいな、華だな、ブランドだな、
なんて1人浸りながら
今日はゆったりとした足取りで
会社へと向かった。

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