恋駅


「やべぇ……寝不足だ」


「大丈夫?何で?夜更かし?」



出勤し、席に座れば
横にいた雪が目をしょぼしょぼさせながら
はぁ……と息をついた。


空くんとは対照的。
とってもやつれてる。

いつもより老けてますよ、雪さん。



「んーー……昨日あんま寝れなくてさ」


「AVの見過ぎ?」


「……女がそんなこと言うたらあかん」


「……事実か」


「ちげーーからっ!!」


「いてっ!」



額をピンッと指で弾かれる。



「ただ単に眠れねー日もあるってことだよ。
おまえはどうせ
ぐーすかぴーすか
いつでもどこでも寝られるんだろうけど!」


「雪、私のこと舐めすぎでしょ」


「うん、舐めてる」


「うざい」



もう、コイツは………。


すぐ私のこと馬鹿にするんだから!



「あらあら。
朝から仲良しねぇ、あなた達」


「瑠夏さん」



頭上から声が降ってきて顔を上げれば
名雲瑠夏なぐも るかさん、
私の先輩が綺麗な立ち振る舞いでそこにいた。


手には大量の資料。


緩やかに巻かれたセミロングの栗色の髪に
ぱっちりメイク。


27歳、華やかな大人の女性代表。

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