恋駅
あーやばい。
幸せ、ってこういうことを言うんだ。
「ふっふっふ」
「なぁ、さっきからおまえキモいぞ?
何1人でニヤニヤしてんだよ?」
「へへへっ」
「……だからその顔やめろって。
見れたもんじゃねーから」
ごつん、と鈍い音がしたのと同時に
後頭部に痛みが走る。
「痛い。わたちん、何すんの」
「うざいから殴ってやった」
「ひどいっ」
ヒリヒリとする頭を抑えながら
親友の斎藤渉さいとうわたるに向かって吠える。
「はぁ………。
おまえなぁ、朝から横で
ピンクオーラ出されてる
俺の気にもなってみ?」
「俺そんなに幸せそう?
ねぇ、幸せそうに見える?」
「はいはい、見える見える。
だからニヤけるな」
「へへへ」
「ったくもう……」
わたちんが呆れてる。
けど仕方ないじゃんね?
だって俺、今最高に楽しいもん。
「あのね、聞いて!
今日の朝もね、せり」
「あーー、芹那さん、だろ。
もうなんべんも聞いたから」
「うん!!
もうほんと、やばい。可愛い。好き」
「…………空。
おまえ絶対
将来嫁の尻に敷かれるタイプだろ」