恋駅


あーやばい。

幸せ、ってこういうことを言うんだ。



「ふっふっふ」


「なぁ、さっきからおまえキモいぞ?
何1人でニヤニヤしてんだよ?」


「へへへっ」


「……だからその顔やめろって。
見れたもんじゃねーから」



ごつん、と鈍い音がしたのと同時に
後頭部に痛みが走る。



「痛い。わたちん、何すんの」


「うざいから殴ってやった」


「ひどいっ」



ヒリヒリとする頭を抑えながら
親友の斎藤渉さいとうわたるに向かって吠える。



「はぁ………。
おまえなぁ、朝から横で
ピンクオーラ出されてる
俺の気にもなってみ?」


「俺そんなに幸せそう?
ねぇ、幸せそうに見える?」


「はいはい、見える見える。
だからニヤけるな」


「へへへ」


「ったくもう……」



わたちんが呆れてる。


けど仕方ないじゃんね?


だって俺、今最高に楽しいもん。



「あのね、聞いて!
今日の朝もね、せり」


「あーー、芹那さん、だろ。
もうなんべんも聞いたから」


「うん!!
もうほんと、やばい。可愛い。好き」


「…………空。
おまえ絶対
将来嫁の尻に敷かれるタイプだろ」

< 39 / 48 >

この作品をシェア

pagetop