恋駅


朝のホームルームが始まり、
少しして授業が開始される。


受験に向けての最終段階。


3年ということで
模擬テストを実施する場合もたまにある。


ど真ん中、一番後ろの席。


そこで頬杖をつきながら
教師の話を右から左に流す俺は
勉強なんか……って早くもやる気ゼロ。


一応は大学志望だけど
夏休みが明けた今も
具体的にどこにするとかは決めてないし。


そろそろ、まずいな……。


うん、けど
確か芹那さんは高卒で就職したんだよね?



「就職、かぁ……」



芹那さんはとっくに社会人として全うしてる。


じゃあ俺は?


学生のままでいいのかな。

相手にしてもらえるのかな。



「はぁ………」



だめだ、授業に集中できない。


ずるずるっと机に突っ伏する。



……わたちんには強気に言ったけど
実際、芹那さんの態度を見ていると
弟のような、後輩のような
そんな扱いを受けているような気もして。


まだまだ、遠い。


芹那さんの横に並ぶには、
いろんなものが足りない。

< 41 / 48 >

この作品をシェア

pagetop