恋駅
朝のホームルームが始まり、
少しして授業が開始される。
受験に向けての最終段階。
3年ということで
模擬テストを実施する場合もたまにある。
ど真ん中、一番後ろの席。
そこで頬杖をつきながら
教師の話を右から左に流す俺は
勉強なんか……って早くもやる気ゼロ。
一応は大学志望だけど
夏休みが明けた今も
具体的にどこにするとかは決めてないし。
そろそろ、まずいな……。
うん、けど
確か芹那さんは高卒で就職したんだよね?
「就職、かぁ……」
芹那さんはとっくに社会人として全うしてる。
じゃあ俺は?
学生のままでいいのかな。
相手にしてもらえるのかな。
「はぁ………」
だめだ、授業に集中できない。
ずるずるっと机に突っ伏する。
……わたちんには強気に言ったけど
実際、芹那さんの態度を見ていると
弟のような、後輩のような
そんな扱いを受けているような気もして。
まだまだ、遠い。
芹那さんの横に並ぶには、
いろんなものが足りない。