恋駅
今まで、俺は
多少の恋愛経験は積んできたつもり。
小学生の頃、好きな女の子はいたし
中学生になれば告白されたりもした。
でも、好きって何だろうって
時々思ったりして
やっぱりこの人じゃない。
そう感じることがしばしば。
そんな俺が
まさか最寄駅で見かけた見ず知らずの人に
一目惚れするなんて、しかも年上だし
自分でも未だにびっくりしてる。
芹那さんのことは
本当に、純粋に惹かれたんだと思う。
話したことも無ければ
何か目につくような事を
彼女がやっていたわけでもない。
接点は何もなかった。
だけど、あれだけ人がいる駅のホームで
毎回当たり前のように
芹那さんを見つけていた。
まるで吸い寄せられるように
目が勝手に彼女を探している。
綺麗な立ち振る舞い。
人の視線を集める、
多分そういう魅力をあの人は持ってる。
顔は小さいし、肌は白いし
憂いを帯びた瞳に
もう、釘付けだった。
でも変な話
彼女は見知らぬ他人、
だから、声をかけるまでに数ヶ月
今日こそは……!と誓いつつ
行動に移すまでかなりの時間がかかった。
だって緊張するでしょ?
全く知らない相手に
好きです、一目惚れしました!なんて
そう簡単に言えるわけないじゃん。
相手の反応がどんなもんになるのか
俺だって怖いしさ。