恋駅
朝の駅のホーム。
今では空くんと連絡を取り合って
ほんの少しの時間を
共に過ごすようになっていた。
「え、浴衣着て来てくれるんですか!?」
「うん。似合うかわからないけど……」
「いやいやっ!絶対似合いますって!!
うわーーー楽しみだなぁ!」
えへへ。
顔をくしゃっとして笑う空くん。
目線の高さはあまり変わらない。
だからこそ、彼の表情はよく見える。
「空くんはどうするの?」
「んーー俺も着たいですけど
持ってないから私服かな?」
「お、じゃあ空くんの初の私服姿
楽しみにしてるね!」
「え!?ハードル上がった!!
どうしよ……っ!」
空くんの表情はコロコロ変わって
喜怒哀楽が激しいから見てて面白い。
「ぜ、全力でお洒落してきます!
頑張らなきゃっ」
「そんなに気を張らなくてもいいのに」
隣で意気込む彼に苦笑する。
「んー、でも
やっぱり好きな人にはカッコいい!って
思われたいじゃないですか」
………好きな人。
あぁ、もう。
そうやってすぐ真面目な顔で
私を見据えるんだから。
「……うん。そうね」
時々、その表情をまともに見れなくなる。