恋駅
電車はもうじき来る。
私に時間は無い。
これに乗れば充分会社には間に合うけど
逃したら今度こそアウト。
用があるなら早めに言ってもらわねば。
「あのーキミ、
何かあるなら言ってくれると……」
「あ、はいっ……あの、あのっ!実は!」
まん丸の目。人懐こそうな容姿。
けど、私から見れば幼い顔つき。
そんな彼が意を決したように
真剣な瞳で私を捉え
「す、好きなんですっ!!」
「は?」
…………はい?
え、何が?
なんてとぼけられるくらい
私、天然でもアホでも馬鹿でもないから……。
空耳……じゃなければ
信じらんないけど、
この嫌な予感が的中しているならば
この子、とんでも無いこと言い出したよ?