恋駅


電車はもうじき来る。


私に時間は無い。


これに乗れば充分会社には間に合うけど
逃したら今度こそアウト。


用があるなら早めに言ってもらわねば。



「あのーキミ、
何かあるなら言ってくれると……」


「あ、はいっ……あの、あのっ!実は!」



まん丸の目。人懐こそうな容姿。

けど、私から見れば幼い顔つき。

そんな彼が意を決したように
真剣な瞳で私を捉え



「す、好きなんですっ!!」


「は?」



…………はい?


え、何が?

なんてとぼけられるくらい
私、天然でもアホでも馬鹿でもないから……。


空耳……じゃなければ
信じらんないけど、
この嫌な予感が的中しているならば

この子、とんでも無いこと言い出したよ?

< 5 / 48 >

この作品をシェア

pagetop