君と永遠に続く恋をしよう
まだ好きだから…と言われ、肩身が狭くなった。
平野さんはフ…と笑いかけ、それじゃまた…と手を上げる。


「風邪引くなよ。今度は正月に来るから」


「うん、平野さんもね」


バイバイと向きを変えて歩き出す背中に「気を付けて」と言うと、振り向きもせずに平野さんは手を振り返して車に乗り込んだ。


走り出す車体を門扉の外へ出て見送る。
勇気を出してくれた平野さんに感謝しながら、大きく手を振って別れた__。



「はぁ……」


車体が視界から見えなくなると、深い溜息を吐いて家へ入ろうとした。でも、背後から足音が聞こえ、振り返るとその正体を知って目を疑う。


「えっ……桜庭さん?」


どうして?
帰った筈じゃなかったの?


唖然とする私の方へ来る人を見たまま動けなくて佇む。
彼は私の近くに来ると立ち止まり、「あのさ」と言って話しだした。


「昼間電話をしてきたのは、彼と何かあったからか?」


悪いけど立ち聞きした、と言う彼に呆れ、でも、もう隠せないと覚悟を決めた。


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