君と永遠に続く恋をしよう
自慢そうに話す彼の横顔を見て頷く。
「社長も若いね」と声を出すと振り返り、「そっちは見るな」と不貞腐れた。


「あ、そうだ」


髪を拭いてたタオルを手放し、私の手を握る桜庭さん。
ビクッとするとしかめっ面をして、「この間の電話はショックだった」と言ってきた。


「同じ勧めるなら俺じゃなきゃ良かったのに…とか言って切っただろ。俺はあの後後味が悪くて、仕事も何も手に付かなくて困ったんだからな」


土曜日にかけた電話のことを持ち出してきて、今更?と少し驚く。だけど、桜庭さんはそれで私の所へ行こうと思い、あの時家に急に来たんだと教えてくれた。


「君に会って、一言言っておこうと思った。君がどんなに俺じゃない方がいいと思ってても、俺は君を推されて正解だったよ、と伝えておこうとしたんだ」


「そんなこと今は少しも思ってないよ。桜庭さんで良かったと思ってるし、流石は兄さん、と感心もしてる」


「賢也が勧めるからいいのか?」


「誰もそんなこと言ってないでしょ。…きゃっ!」


足を掬うと横抱きされる。
ビックリして目を見開くと、桜庭さんの顔が擦り寄ってきた。


< 168 / 197 >

この作品をシェア

pagetop