君と永遠に続く恋をしよう
私達は家に向かいながら、明日香さんのことを両親に伝えた方がいい…と話し合って決めた。
検査薬の結果は陰性だったし、月数から考えても、妊娠の可能性は低い…と考えられるからだ。


広大さんは言葉を選びながら二人に彼女のことを伝え、あの事故の夜、彼女の部屋へ行こうとして、兄がバイクを選択したようだと話して聞かせた。


「多分、彼女の所へ早く行こうと思ってたんだと思います。日付の変わる前に着いて、一緒に誕生日を祝ってやりたかったんだ…と」


誤った選択だったかもしれませんけど…と言うと、父も母も苦渋な顔つきに変わり、「本当に」と呟いたまま、少し沈黙が続く。


私はそんな二人の顔を見たまま兄のことを思いやった。
間違った選択ではあったかもしれないけど、それ程までに多分、兄は明日香さんのことを好きでいたんだろう…と考えた。


「あんな雨の夜にこっそり出掛けなくても、その前にきちんと紹介くらいしてくれたら良かったのに」


悔しそうな声を漏らした母は、ソファから立ちあがると兄の遺影の前に座り直した。



「……だけど、その人のことを本当に好きだったのね」


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