君と永遠に続く恋をしよう
不安そうな彼に向かい、「十分です」と頷く。
すみません、と謝ると「いや、当然だから」と返してきて、私にも何か買おうと言い始めた。


「私は何もいりませんから!」


全力で拒否し、早く帰りましょう、と改札口へ向かう。
彼はそんな私の態度に落胆して、肩を下げながら「仕様がない」とこぼして付いてきた。


「それじゃ今夜は、君を安全に送り届けることにするよ」


改札を抜けるとそう言って手を握りしめ、さっさとホームへ向いて歩き出す。


「ちょ、ちょっと…」


そんなのしなくても歩けます…と手を離そうとするのに、彼は返って力を込めて握り返してくる。


「そんなにジタバタしなくてもいいだろ。人も多いし、離れても困るから繋いでるだけだ」


周りに迷惑かけるな…と言い切る相手の顔を見つめ、そりゃ貴方はその面だもん、注目を浴びるのには慣れてるでしょうけど、と思う。でも……


(こっちはちっとも慣れてないのよ!)


チラチラと視線を送られるのも、ヒソヒソと囁かれるのも慣れてない。ましてや今は帰宅ラッシュも始まり、人目は倍以上もあるというのに__。


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