君と永遠に続く恋をしよう
次なんてなかったんだと思い直し、それなら別に気にしなくてもいいんだ…とホッとする。


(だけど、この人頑固そうだし、お父さん達も「またおいで」とか言い出しそうだしな…)


そう考えると、彼が買ったお土産すらも今後への橋渡しみたいな気分がしてきて、やっぱりロクでもない人だ…と兄の勧めすらも煩わしく感じた。



ようやく家の近くまで戻って来た私は本当にいい加減にして、と言うつもりで顔を前に向ける。

駅からずっと社長との関係性を話してた彼も、「もう直ぐ着くな」と声を漏らし、同じように自宅の方を見遣った。



「あれ…」


自宅の前に停まってる車のナンバーを見て、私は小さく囁いた。


「あの車は…」


囁きを漏らさずに聞いてた桜庭さんが振り返り、「知ってる車?」と訊き返してくる。


「うん、多分…」


あの人のに間違いないと思いながら歩を早め、自然と繋がれた手が離れた瞬間……


「おかえり、奈央ちゃん」


門扉の側から顔を覗かせる人を見つけ、「やっぱり!」と大きく目を見開いた。


「平野さん!」


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