君と永遠に続く恋をしよう
緒方賢也が俺を呼び出したのは、四月の異動から三週間くらい経った頃だ。

待ち合わせのバーへ行くと、奴は先に飲み始めていて、珍しいなと思いながら近付く俺を振り返って笑い、「来たか」と言いながらグラスをカラカラと揺すった。


「話って何だよ」


横に座りながら水割りを頼み、薄っすら頬を染める相手の方を見遣った。


「んー、ちょっとなー」


勿体ぶるように賢也は言い渋り、俺は「また妹のことか?」と訊ねた。


「……ああ、そうなんだよ。アイツまた男にフラれてさ。昨日も飲みながら泣いて愚痴って大変だったんだ。…まあ立ち直りだけは早い奴だから、泣き喚くのも昨日だけで済むとは思うんだけどさ」


そう言ってグラスを呷り、散々妹の情けない話を俺に聞かせて嘆いた。


「アイツはどうしてあんなに男を見る目が無いんだろうな。別に顔で選んでる訳でもなさそうなのに、どうにも相手に騙されて良いように扱われてさ」


そう言いながら、本当に馬鹿だよ、と溜息を吐くのを見て、俺は、半ば責任はお前にあるんじゃないのか?と問いかけた。


「俺?」


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