君と永遠に続く恋をしよう
「奈央さん」


名前を呼ぶ俺の声に彼女が眉間に皺を寄せる。
お酒くさ…と囁くその唇の動きをもっと見たくて、彼女の頬を包み込んだ。

まじまじとよく見ると、本当に可愛い顔をしている。
何となく目元が賢也に似てなくもなく、僅かに寂しい気持ちも生まれた。


「何ですか?もう…」


あんまりに接近してこないで、と彼女がじわりと体を動かす。頬を赤く染め、戸惑う様な表情に変わった。

そんな反応を見せられると堪らなくなり、離れようとすると更に近付きたくなってしまった。


「奈央さん…」


名前を呼ぶと、何?と不機嫌そうに問う相手の頭を抱え込んで、俺は彼女の唇に自分の唇を押し付けた。

目を見開いたまま俺の体温を感じた相手は、ドンッ!と両手で突き飛ばし、ソファに凭れ込んだ俺を見て、ぎゅっと唇を噛み締める。

それと同時に手を握り上げ、俺に向かって振り下ろした。

バチン!と頬に衝撃が走り、でも、音の割りには大した痛さを感じにずぼうっとする。


「サイテー!」


そう叫ぶと彼女はバタバタとリビングを走り去った。

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