君と永遠に続く恋をしよう
「はぁー。本当にどうもすみません」


車に戻ると開口一番で彼に謝る。

私達は結局、館内のスタッフに声をかけられ、半ば強制的に外へ出されてしまい、人でごった返すロビーの中を、私は真っ赤になった目を晒したまま移動しなければいけなくなった。

おかげで私の隣に居た桜庭さんも一緒に恥ずかしい思いをした筈。
それで今、こうして彼に謝ってるという訳だ。


「別にいいよ。君以外にも泣いてる人多かったし」


それだけいい映画だったってことだろう、と言う彼に、素直な気持ちで「うん」と頷く。


本当に感動的ないい映画だった。
彼に連れて来てもらって良かった…と心の底から思ってる。


「もう帰る?」


顔を覗くようにしてくる相手に胸が弾む。
ちらっと車内の時計を見遣ると、午後十一時近い。


「帰らないと」


そうは言っても何となくこのまま…というのは忍びない感じがする。
もう少しだけ彼と一緒に居て、映画の余韻にも浸りたい…と、何故か私はそう思った。


「そうだよな。帰らないと心配するだろうし」


両親のことを気にかけたらしい彼は、小さく息を吐いてシートベルトを引っ張った。


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