君と永遠に続く恋をしよう
「桜庭さん…」


出発前に、彼に一言お礼を言っておきたかった。
それで彼の名前を呼んだだけなのに。


振り向く彼の顔を見ると、何も言えずに胸だけが鳴る。
この間のような空気が漂ってしまい、まずい…と自分でも思ったけど……。


近づいてくる彼の唇を撥ねずに、受け止めてしまったのはどうしてなのか。
分からないけどキスを重ねながら、何度も彼の求めに応じてしまった。


ひょっとしたら、これも兄の仕掛けた魔法みたいなものだったのかもしれない。

けれど、同じ様に兄のことを思ってくれる相手が側に居ることが、この時の私には、とても有難くて貴重だと感じた___。


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