君と永遠に続く恋をしよう
近い距離にいる人
眠りの浅い夜を越して朝を迎え、瞼を擦りながらリビングへ行くと__


「えっ?平野さん来てたの!?」


驚いて声を上げると、母は「そうよ」と返事した。


「奈央に…と言って、ケーキを買ってきてくれたの」


でも、昨夜は私が職場の人と食事して帰ると連絡した所為で、ガッカリしながら帰ってしまったそうなんだ。


「『お芋以外で』と頼まれたと言ってたわよ。ケーキは冷蔵庫に入れてあるからね」


お礼の電話でもしておきなさい、と言われ、反省しながら「はぁい」と返事はしたものの……。


(つい嘘を吐いちゃったけど、お母さんはそれを疑ってもない様子だな)


まさか、桜庭さんと食事して帰ります、とは言いづらく、「職場の人」と誤魔化した。
母は「あまり遅くならないようにね」と言うだけで、その時は平野さんが来てる…とは言わなかったんだけど。


(私が連絡した後に来たのかな。折角寄ってくれたのに申し訳なかったな)


反省しながら冷蔵庫のドアを開けると、ケーキの箱がドン、と置いてあり、まさかホールで買ってきたの!?と目を見張る。


< 90 / 197 >

この作品をシェア

pagetop