君と永遠に続く恋をしよう
「あら、いいわね」


外食が羨ましい…と母は言うが、父はムスッとして不機嫌そうだ。


「あいつはいっつも奈央奈央…と言ってばかりだが、他に女はいないのか?」


犬ころみたいに可愛がってもらっても困る、と断言し、私は「犬ぅー!?」と声を上げる。


「お父さん比喩が酷い!」


母も言い過ぎよ、と窘めるが、父はどうにも平野さんが気に入らないようだ。


「酒の相手もできない男とは付き合うなよ、奈央」


(なんだ、それでか)


やっぱりそれが気に入らない原因の一つなんだ…と呆れ、それでもそこが平野さんのいい所でしょ、と言い返す。だけど、父はそれでは詰まらないと言って譲らず、何処まで頑固なんだと呆れながら家を出た。



高校時代から足繁く家にやって来る平野さんは、兄と同じ高校に通い、大学は別の所へ行った。

兄ほど勉強家じゃないから…と笑っていたが、それでも時々は一緒にツーリングへ出掛けるような仲だった。


バイクの事故で兄が急逝した時も一番に駆けつけて来て、棺桶に横たわった兄に向かい、「どうして寝てるんだ!」と声を張り上げて怒鳴った。



「起きろよ!賢也!」


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