俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
「すみません、食べる時間が減っちゃいますよね」

申し訳なさそうな顔でそう言うと、要は私の頭をコツンと小突いた。

「謝らない。うちは、キッチリ一時間は休憩とらないといけないことになってるから、他のやつらより、30分くらいは余裕あるんだよ」

「そうなんですか?それは、一体誰が決めたんですか?」

「勿論、うちの社長だよ」
「…」

「社長ほど、社員の事を一番に考えてる経営者はいないね。産休、育休、病休。バースデー休暇。残業も、許されるのは週二回まで。それも、必ず申告することになってる。」

「社長って、凄い方なんですね」

「あぁ、仕事は出来るし、人望は厚いし、ひのうちどころがない。尊敬する人だよ」

…昨日の彼からは想像できないのだけど、不器用な優しい人なのは、なんとなくわかった。

まぁ、もう、お近づきになることはないと思うけど。

そんな事を思いながら、社食へと入ると、要とランチした。

要は、唐揚げ定食、私はお弁当。

他愛もない会話を楽しみながらランチしていると…

突然後ろから、手が伸びてきたかと思うと、卵焼きを奪われた。

要は驚きの眼差しで私の後ろを凝視している。

私もパッと後ろを振り返った。
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