俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
なんだか浮かない顔。

心配になった私は、要の顔を覗きこんだ。

「どうしたんですか、松木先輩?」
「あのな…」

ん?手に、紙切れを持ってる。

「松木先輩、どこに行ってたんですか?」
「…これ」

ようやく手に持っていた紙切れを私に差し出した要。

私は不思議に思いながら、その紙を広げた。

携帯の番号とアドレスが書かれていた。

しかし、誰のものか、わからない。

「誰のものですか?」
「電話したらわかるから、仕事が終わったらそこに電話してやって」

「…」

誰かもわからないのに、そんな事。

私は困惑顔で要を見る。

要も困ったような笑みを浮かべた。

「一回だけでいいんだ。その後するかしないかは、有坂が決めてくれたらいいって」

「誰なのか、教えてくれないんですか?」

「…ごめん、どうしても明かさないでほしいって言われたから」

要も、本当に困ってる様子。

私はため息をついて、もう一度、要を見た。

「松木先輩の頼みですから、連絡はしてみます。でも、これからはこんなことは無しにしてくださいね?」

私の言葉に安堵した表情を見せると、もうしないからと言い、要は持ち場に戻った。
< 12 / 95 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop