俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
モヤモヤとした気持ちが晴れないまま、仕事だけはこなしていきつつ、でも、結局、残業を余儀なくされた。

申告書を出し、また、パソコン作業にとりかかる。

そんな私の横に立ったのは、要。

「…有坂、やっぱり、あれ、無理にしなくても」
「もう、松木先輩。連絡はするって約束したんですから気にしないでください。気持ち悪い相手なら、速攻切りますから」

そう言って、笑って見せる。

「でもな」
「ほらほら、私のことはいいですから、松木先輩は、さっさとデートに行っちゃってください!秘書課一美人で素敵な真理子さんが待ってますよ」

そう言うと、要の背中をグイグイ押した私。

要は観念したように帰っていった。

…それから、仕事を終えたのは8時を少し過ぎた頃。

パソコンの電源を落とし、デスクの上を片付けて、ふぅとため息をつく。

携帯を手に取り、さっきの紙切れを広げてみた。

番号は表示させたが、やっぱり、アドレスも書いてくれてるから、メールにしようかな。

あれこれ考えてるうちに、間違えて、電話をしてしまっていた。

…でも。

相手は出ない。仕事中かな?

それをいいことに、電話を切ろうとした。

すると、携帯の着信音が、廊下の方から近づいてくる。

誰かのが鳴っているのね。

私は呑気にそう思いながら、電話を切った。

「…よし、帰ろ」




「…遅い」
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