俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
すっぽりと、社長の腕の中に収まってしまった私は、男の人に抱き締められるのなんて初めてで、恥ずかしさのあまり身動きが取れない。

「…小さいな」

その言葉にムッとして、反論する。

「仮にも立派な大人です!」

私の言葉に、社長はクスクスと笑い、悪かったと謝る。

「詫びのかわりに、食事に行こう」
「いや!イヤです!」

私の拒否の仕方に驚いて、社長は私を抱き締めたまま、見下ろす。

「…なぜ?」
「社長といると、緊張するんです。それに、あんな高級なレストランは性に合ってないから」

どんどんしりすぼみになる声に、社長は納得してくれたようだ。

「…わかった」
「本当に?」

パアッと私の顔が明るくなる。

「俺の自宅で、一緒に料理をしよう。」

なんて、言い出すものだから、呆気にとられてしまう。

そんな私の手を取ると、エレベーターに向かって歩き出した。

「社長…行けません。あぁ、手を放してください。他の人に見られたら勘違いされて」

「勘違い?そのまま受け取られるだけだから、心配ない。」

「いや、私は困ると言うか」

「心配ない。この階のフロアには、社員は見当たらなかったから。それに、このままエレベーターで、地下の駐車場に行けば、尚更誰にも見られない」

…あぁ、もう、反論出来そうにない。

私は観念したように、社長についていくしかなかった。
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