俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
駐車場では、本当に誰とも会うことなく、車に乗ることが出来た。

車を走らせること数分、社長の自宅へと到着した。

洋風な一軒家。

大手企業の社長だから、高層マンションにでも住んでいるのかと思ったけど、とても可愛い感じの一軒家で驚く。

「可愛い家ですね」
「ありがとう。俺もこの家は気に入ってる」

「お一人で住んでるんですか?」
「今はな」

…今は?

それって、どういう意味なんだろう。

複雑そうな顔が可笑しかったのか、社長はクスッと笑うと。

「ここは、俺の実家だよ」

…実家だよ?え、ご両親は?

「両親は共に他界してる」
「え、あ…すみません、」

なんか、悪いことを聞いた気がした。

シュンとしてる私の頭を、社長は優しく撫でた。

「もう、何年も前の話だ。それに、兄弟は健在だから、寂しくもない。」

その言葉にほっとする。

駐車場に車が停まると、社長はさっと助手席に回り、ドアを開けてくれた。

「ありがとうございます」
「いや…さぁ、入って」

本当に入っても良いんだろうかと思っていると、いつの間にか、家の中に。

「おかえり」

リビングに入るなりをそんな声が聞こえた。


…この人が、社長と兄弟?

私は自分の血の気が引いていくのがわかった。
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