俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
「結愛は返してもらう」

そう言うと、社長は私を連れてエレベーターへ。

そして向かった先は、社長室。

秘書はもう、今日の業務を終え、帰った様子で、社長室には、私と社長の二人だけ。

社長室に入るなり、社長は私をぎゅっと抱き締めた。

「社、社長…あの」

驚いてそんな言葉しか出ない。

「あぁ、結愛が俺の腕の中にいる」

そう言って、また、私を抱き締める。

「く、苦しいです」

その言葉に少しだけ力が緩む。

…社長は、私に触れることを躊躇わない。

それがなんだか嬉しく思ってしまう。

そう思うと、抱き締め返さずにはいられなくて。

そうすると、少し驚いたように、私を見下ろした社長。

私は恥ずかしくて頬を赤らめて、社長を見上げる。

「こうされるのは、嫌じゃない?」
「…残念ながら、嬉しくて、困ってます」

その言葉に、社長は笑って、私の頭を撫でた。

「…子供扱いですね」

少しムッとして、そう言えば、社長はまた笑って今度は両手で私の顔を包み込むと、軽く口付けた。

…私の顔は、一瞬にして、まっかっか。

その顔を見て、社長は眉を下げて笑った。

「これくらいで真っ赤になるとか、やっぱり子供だな」

…社長はわかってないのか?


これが、ファーストキスだと言うことを。
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