俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
いや、わかるわけないか。

もう、いい大人だ。

キスの一つや二つ、あっておかしくないし、その先だって、経験済みだと思われてるかもしれない。

言うべきか、伏せておくべきか?

処女なんて言われたら、重い女だと思われるかもしれない。

それは嫌だ。

「…結愛、怒った?」

私の顔を覗きこんで、社長が問う。

怒ってるわけではないので、首をふる。

でも、言葉すら発しない私を見て。

「…結愛、何か言えよ。どうした?」

「…だから」

「…え?」

ボソッと呟いた為、社長にその言葉は届いていない。

「結愛、言いたいことがあるなら、ちゃんと言え」
「…子供っぽくもなりますよ!キスなんて、初めて何ですから!もういいです。帰ります」

そう言い捨てて、社長から離れると、ドアに向かって歩き出す。

でも、直ぐに後ろから抱きすくめられた。

「どう言うことだ?結愛は瑞樹と」

…付き合っていたけど、触れ合うこと無く、別れたのだから、未経験なのだ。

「…瑞樹さんとは、何もなかったんです」

そう言うと、社長は抱き締める腕に力を込めた。

「社長…苦し」
「結愛は誰のものでもないんだな?そうか、…好きな人の初めてを貰うのがこんなにも嬉しいものだなんて思わなかった」


社長の言葉に驚く。
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