俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
重い女だとか、めんどくさいとかいうのかと思っていたのに、予想もしていない言葉だったから。

「…結愛?」
「私…社長の事、」

好きかもしれない。

最後まで言えなかった。

まだ、確信はない。

もし、確信があっても言葉にしてはいけない気がした。

だって、私と社長とでは、あまりに違いすぎて、付き合うなんて、夢のまた夢なんじゃないかと思えてならなかった。

「どうした?」
「いいえ、何でもありません。あ、社長すみません、私、その、今日はどうしても外せない用がありまして、失礼します」

「結愛」

離れていく私に、社長が声をかける。

私はただ黙って振り返った。

「また、連絡する」
「もう」

「ん?」
「…いえ、失礼します」

そう言って、社長室を出ていった。

オフィスに戻ると、まだ、瑞樹がいて、窓の外を眺めていた。

私は声もかけないで、鞄を取ると、行こうとする。

「有坂結愛」

瑞樹の言葉に背を向けたまま、足を止めた。

「結愛は、良樹の事が好きなのか?」

その言葉に体がビクッとなる。

「好きなんだな」
「…」

「それでも俺は…結愛を諦めないから」
「…私の事なんて、忘れてください」

そう言うと、走ってオフィスを出ていった。
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