俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
…会議が終わったのは、定時を過ぎた頃。

私と要は、終わったものを全て片付け、その日の業務を終えた。

「お疲れ様でした。松木先輩」
「お疲れ様、あ、今夜一緒に飲みにでもいかないか?」

要の誘い。先輩の誘いだけど。

「すみません、今日はちょっと用事が」
「そうか、じゃあ、また今度」

要はイケメンだ。女子社員にも人気はある。嬉しい誘いだけど、仕事に慣れるまでは、誘いは断るつもり。

…奥手だから、恋もまともにできないんだろうけど。

そんな事を思いつつ、一階に降り、ロビーを抜けると、外に出た私の目に、一人の老人が目についた。

重い荷物を抱え、信号を渡るのに手間取っている様子。

私は迷うことなく駆け寄り、声をかけた。

「私も渡るんですけど、荷物運びますよ」

笑顔でそう言うと、

「いいのかい?ありがとう、助かるよ」

ほっとした顔で、そういう老人から、荷物を受けとる。

…予想以上に重かった。
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