俺様社長の溺愛~大人の恋を指南して~
…あれから、どうやって帰ったのか。

でも、ちゃんと家には帰っていて、泣きつかれたのか、そのまま眠りについて、目が覚めたら、朝が来ていた。

目を開けた私は、スーツ姿のまま、私の手を握りしめ、眠っている瑞樹がいて、驚いた。

ずっと、傍に居てくれたようだ。

「…ん…ぁ、結愛、目が覚めた?」
「…ぉはよぅございます」

困惑気味に朝の挨拶。

無防備な寝起きの顔の瑞樹が、くしゃっと顔をほころばせ。

「おはよ」

そう言った。

瑞樹の気持ちを考えると、申し訳なさで一杯になる。

瑞樹は、私を好きだと言ってくれてるのに、社長の事で泣いて、そんな私を慰めようと、傍に居てくれて。

「瑞樹さん…ごめんなさい」

素直に謝ると、瑞樹は首をふった。

「結愛の気持ちはよく分かる。だから泣きたくなるのは当然だし、そんな結愛を慰めたいと思ったのは俺だし。勝手にしたことだから、結愛はそんなことで気に病むことはない、な?」

瑞樹にそんな優しい言葉をかけられると、また泣きそうになる。

すると、瑞樹は大きな手で、私の目を覆った。

「…あの」
「それ以上は泣かない方がいいかも」

「え?」
「目が大変なことになるよ」

その言葉にハッとして、でも、なんだか笑えてきて、瑞樹と目が合うと、二人でクスクスと笑ってしまった。

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